99%の誘拐

99%の誘拐 (講談社文庫)

99%の誘拐 (講談社文庫)

年越しの際に読んでいたので2011年最初に読んだ本ということになる。以下若干ネタばれあり。
 過去におこった誘拐事件、その影響で受けた被害への復讐。コンピュータを利用した完全犯罪、書かれたのが20年前なので、その当時の最先端の技術を利用した犯罪である。
 解説を読むと作者の岡島二人は、二人の共作なのでそういう名前だったようだ。著作は多いようなので、機会があったら過去のものも読んでみようかと思う。
 解説について引っかかるところが二つあった。ひとつは作中のトリックが技術的な面で実現不可能なのではないかという指摘について、実行不可能な手順を紛れ込ませるのはミステリの良識として書かれている。実際のところ、主人公の身体能力を前提にしなければこのトリックをそのまま実行するのは不可能で、またそれらを何かしらの方法で代替するなら、技術的なものについてもいくらか工夫すれば実現性は上がるはず。よって、反論としてはずれている気がする。またトリックはこの当時では最先端の技術を使われているのだろうが、現在の技術ではこのトリックは利用されないだろうし、使ってもすぐにではないが看破られるだろう。警察も技術に対応している為。そう考えると最先端の技術を使ってのトリックも、真似されるころには対応策があると思っていいかと。まねだけではなく、本当に最先端の技術を使うならそれこそ犯人は絞られてしまうわけだ。と長々書いたが解説にもある通り、その部分の実現性は瑕疵には当たらないと思う。いや一番引っかかったのは、子供をのめりこませるゲームを作ったあたり。技術的に問題というより、誘導できる程おもしろいものをそんな簡単には作れないような。。
 もうひとつは主人公が共犯者なしで挑んだことに対して、解説では主人公の親の孤独を重ねていた。自分には親を重ねたのではなく、業を自分だけが背負うというように見えた。アスカを通しての子供への話かけで、誘拐犯を許してはならないと言っていた個所からそう感じた。
 なんだか解説についてばかり書いてしまった。なんでだろう。